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いやー、とにかくピンチなんである。窮地なんである。土俵際、危機一髪、死地、苦界、逆境、剣が峰に立つなんである。(ATOKに類語辞書を入れたので、ちょっと使ってみました) マジでホントにピンチ連続の二度目のロンドンの旅。それにしても一番のピンチは、こうして連載が三ヶ月も止まってしまったことではないだろうか? すんません。 「BIGGEST BIZ」「女中たち」の連続公演で忙しかったから……というのも事実ですけれど、多分本当の理由は、パソコンがクラッシュしちゃったからなのですねえ。でね、そういう時に限って、バックアップ用の外付けHDを修理に出している時だったんです。きゃーっ。手元に何もないっ。10年分くらいの仕事のデータが全て、全部、皆、一切合切、一から十まで無くなってしまったあっ! その中には……。 その中には……。 その中には……いやー、言いにくいなあ。でも、言わなきゃ先に進めないですから、思い切って言いましょう。 失われたデータの中には、ロンドン旅行中の写真データもあったのです。うわーっ。これでは連載ができないじゃないかっ! 文章だけじゃあ面白みが無さ過ぎるではないかっ! おかず無しにご飯は食べられないじゃないかっ! マヨネーズでもかけて食えって言うのか? と頭を抱えている間に、忙しさにもかまけて、ここまで連載が空いてしまったのですよ。 ちなみに、失われたデータの半分くらいは専門のデータリカバリー会社に復旧してもらいました。ので、ロンドン旅行の写真データは戻ってきました。やったー。ほっとしましたね。ちなみに2Gほどのデータを復旧するのに、20万円ほどかかってしまいました。大損害だけれど、これからの仕事にかかわる書類が山のように入っていましたから泣く泣くお金払ったんです。 幸いパソコンのデータ量の大半が音楽データで、これは40GのiPodに入れていたのを、フリーソフトを使ってパソコンに戻しました。 これも全部復旧してたら、60万円かかったところでしたよ。 さあ、これでいざ連載復活! と思いきや、ここでも困難が待ち受けておりました。 復旧できなかったデータの中に……。 復旧できなかったデータの中に……。 復旧できなかったデータの中に……。言いにくいなあ。でも言わなきゃ続かないので、言いますね。 復旧できなかったデータの中に、このロンドン日記のためのメモ書きがあったんです。そう、私は、第0回で書いたようにロンドンにパソコンを持ち込み、そこで、こまめに旅行のメモを取っていたのです。 が、今回の事故でそのメモが……失われてしまいました。 ロンドンに行ったのは、もう、去年のこと。 このトラブルで連載休止してしまって、今はもう4月。 私の性格上、メモを取った事に関しては、安心して忘れてしまう。 ピンチの内容をわかっていただきましたでしょうか? もの凄く頑張って思い出さないと、続きが書けないのであります。 そんな逆境の中、連載復活宣言だあっ! |
快適な旅を楽しむはずだったヴァージン・アトランティック901便の機内で、私は脂汗と冷や汗とにまみれて、ただただ青ざめておりました。 今回の大きな目的は、「アワハウス」ゆかりの地を訪ねること。 そして、その一番のポイントはカムデンタウンの名物、カムデン・ロック・マーケットを訪れること。 そのマーケットの詳細を旅行ガイドで調べていた私は、驚愕の事実を知ることになります。 ![]() はい? え? ![]() 営業日が土曜と日曜だけ? えーっ! 第1回で書いたように、私の旅は、出発から帰還までわずか5日。 |
ここで私は、前回のロンドン旅行を思い出す。前回の入国審査で私は「What's your Occupation?」と聞かれたのだが、まずoccupationという単語が分からない。しどろもどろ「I beg your pardon?」「I cannot understand」を繰り返しながら、ようやくそれが職業を聞かれたのだということに気がつく。そして舞台演出家であることを説明しようとしたのだが、「director of stage art」とか何とか和製英語を繰り出すも全く通じず。隣の日本人旅行客のお嬢さんが見るに見かねて間に入っていただいたおかげでなんとか通過することができたという醜態ぶりを晒してしまっていた。 今回は、これに関しては既に対策を練ってあった。「職業は?」と聞かれたら「I’m a writer」と言うことに決めていた。これだと簡単だし、脚本を書いてもいるわけだから嘘でもない。 と、用意周到のつもりだったが、入国審査のゲートについてみて唖然。もの凄く込んでいる。何? ここはGWのディズニー・ランドか? と見紛うばかり。だって待合いスペースは人、人、人。しかも日本人でごったがえしてるのだ。それにしてもまずい、これでは閉店の18時に間に合わない。 ピンチに直面すると、今回の旅のパターンはそこにさらに窮地に陥るような失敗が続く。出国カードを手にせずに出国管理官の前に出てしまった。「出国カードはどこだ」と振り返ると、今まで並んだ列のちょうど中間くらいまで戻らないと取れない。せっかく並んだのに、もう一度振り出しに戻る。ただでさえ込んでいるのに、この失敗のおかげで1,5倍の時間を食ってしまった。 しかも、出国管理官とのやりとりはまたも長時間に渡ってしまう。職業については、「I’m a Writer」で難なく乗り切ったが、別の質問の英語が全く聞き取れない。四苦八苦した結果、「今回の旅行はグループで来ているのか? alone(一人)なのか?」という質問だということに気がつくまで気の遠くなるような時間が過ぎた。だって、aloneという単語が聞き取れなかったんだよねー。 そうなのだ。ここロンドンは、アメリカ英語的なヒアリングでは全く聞き取れない。同じ単語でも発音が違うし、とても便利なHAVEとかCANという単語を用いないので、ブリティッシュ・イングリッシュは強敵なのだ。 今回は、途上の機内で日本語が通じ、直行便でもあったので、この管理官との英語のやりとりがしょっぱな。初手からカウンターパンチをくらってふらふらしていたら、今度はヒースローエクスプレス。前回はすっと乗りこなせたはずのこの列車もまたもトラブル。 ![]() 乗りこんだとたんに乗務員の女性に「これはコネクトだけど、大丈夫か?」と念を押され、「降りたほうが良いですよ」というような表情を浮かべられる。コネクトって何だ? って聞き返したけれど、さっぱり要領を得ない。状況と空気を読んで、とにかく降りることに。確かに列車に「コネクト」って書いてある。でも「コネクト」って何? これは未だにわからない。わかった人メールで教えて。 次に来た列車に乗りこむと、今度はお咎めなし。ほっとして地下の駅を発車。 ヒースローエクスプレスは、空港とロンドン中心部を結ぶ特急列車。乗車が17時過ぎだから、18時少し前にはカムデンに到着できる。なあに、18時までって言ったって露天商たちのマーケット、そんなに杓子定規にバタンと閉店するわけではあるまい。 やっと、人心地がついた私は、ヒースローエクスプレスの車窓がトンネルを抜けて、地上の景色を見せてくれるのを待つことにする。 前回、これが感動的だったのだなあ。トンネルを抜けると、そこはロンドンだった! みたいな風景。 そんな風景を期待してほっこりしていた私の目に映ったものは……? 「えーっ! そ、そ、そんなー!」 果たして、車窓には何が映ったのか、それは次回。 |