「ハロッズ」は素敵な百貨店だった。
 腰痛がいちばんひどい時だったから写真は撮れてないけれど、ロンドンらしく古い建物を使っているので、(稚拙な表現ですみませんが)壁がたくさんある。日本の百貨店みたくどこまで行っても壁にぶち当たらない1フロアぶち抜きではなく、すぐに壁にぶつかり、次のエリアへ入っていく。エリアごとに雰囲気が全然変わるから、その変化も楽しい。
 ハロッズには電気製品売り場もちゃんとあり、な、な、なんと、パソコンエリアのほんのわずかな周辺機器コーナーに、日本×イギリスの電話線を発見。ま、よく考えれば日本=アメリカだから売ってる可能性は高かったかも。
 ハロッズでちょっと気になったのは、そのロゴマーク。関西の皆さん、阪急百貨店のロゴって、まんまパクりですよねえ。檄似だもの。

 なんのことはない、そのケーブルを使ってSo-netのイギリスのアクセスポイントに電話したら、すぐにネット開通。無事、添付書類も送れたのでした。まあ今時なのにダイアルアップだから時間かかったけどね。


 翌日、ロンドン最終日は、マチネ、ソワレともに観劇。
 ロケハンできるような腰の状況じゃなかったので、できることって言えば観劇くらいなんだよね。幸いホテルからウエストエンドまでは近いし。
 2本見たミュージカルは、どっちも「今更それ見るのかよ」って作品。だって今までミュージカル見てきてないから、しょうがないじゃん。
 というわけで1本は「シカゴ」

 なんか地味だったな。ダンスとかカッコよかったけど、セットも、地味なまま何の変化もないし。映画版の「シカゴ」を見た後では、どうもそういう印象しか持てません。取り立ててミュージカルファンでもないあなた。そうあなたは別にウエストエンドまで行って「シカゴ」見る必要はありません。DVDで映画版をご覧下さい。

 もう1本は……
 もう1本は……
言いにくいなあ、けど、頑張って言います。もう1本は「ライオン・キング」

 「えーっ。なんでまた、そんなものを」
 という声が聞こえてきそうですが、でもね、でもね、感動しましたよ「ライオン・キング」
 ロンドンで見たミュージカルの中で一番ビジュアルのオリジナリティーを感じたし、ビジュアルって行くところまで行くと、ちゃんと感動するのだなと思えました。これはラスベガスの「O」を見たときと同様の感動。


 なんと行っても動物たちの造形が素晴らしいから、1場なんて、動物たちが客席から舞台へ向かって行進するだけなのに感涙してしまう。マチネ公演だったから、私の後ろ4列は全席小学生。ロンドンの小学生たちは、ホント大喜びでやんややんやの大喝采。その雰囲気がまた日本と違ってこっちの心も盛り上がる。
 父ライオンが、王としてではなく、親として話す場面では、「おお、演劇的」と思ったし、あの渓谷での大スペクタクルシーンが、ああいうことになって、なぜか「おお、歌舞伎みたい」と思ったし、(自分でもなぜかは不明)新しい発見がたくさんあった公演でした。劇団四季のは見てないので、日本で見た人とどれだけ違うのかはお伝えできませんが。


 最後の夜は、中華街へ繰り出しました。
 ウエストエンドと呼ばれる地区の北側にそれはあります。お洒落な店の多い地区なので、前回は結構昼間通っていたので気づかなかったんだけれど、ネオンサインがつくと、横浜中華街とそっくりな風景。店舗数は横浜のほうが断然多いけど、中国人って、こういう町をどの国にも作ってるワケでしょ? どの国に行ってもとけ込めない中国人ってすごいアイデンティティーの高い国民だなあとか思う。


 中華街のはずれに日本食レストランを発見。ビジュアルは面白いけれど、入る気にはなれず。
 だってせっかく中華街に来たんだから。さて、どの店で何食べようかしらん。


と、店の外にある品書きを見てもさっぱり分からず。英語と中国語なんだもん。でも、よくみるとお手軽コースもある。が、2名様以上とある。で、もっとよく見るとどの店もコースは2名様以上。そうなんです。ロンドンの町で一人で晩飯を食ってる人なんていない。うわー寂しさが増してきた。

 寂しさが増すだけならまだしも、またまた腰痛が襲ってきた。(ところで、この連載を読んだ人が、必ず「ロンドン日記面白いですね」と言ってくれる前に、「腰は大丈夫ですか?」と聞いてくださる。だけど、この日記ってもう半年近く前のことを書いています(第3回を参照)ので、もう腰は当然、大丈夫です。ご安心を)
 もしも、店に入って食べている間にもっと悪化したら……。
 そう思うと店に入る勇気がそげてしまい、結局、最後の夜は、ひとりぼっちで、ホテルで、コンビニ食。
 さ、さ、寂しすぎる。


 そういうワケで、ピンチ、ピンチ、ピンチの連続で始まった今回のロンドン旅行。俺は精神修養のためにロンドン来たのかしら? というような出来事の嵐。いかがでしたでしょうか? もしも嫌な気持ちになれたなら、私としては逆に嬉しいです。あの辛さをシェアーできたわけなので。
 そして、最後に私は宣言します。「一人旅はもう絶対やんない!」

 長期間ご愛読ありがとうございました。新連載の「魔界転生の旅」もご愛顧ください。


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