さて、ロンドンに来てはみたもののお芝居のチケットは未入手である。1枚も手元 にはない。
 日本で事情通に聞いたところによれば「ロンドンには当日のチケットを半額で売っ てくれるショップがあるんですよ」とのこと。『地球の歩き方』を開くと、あったあっ た。レスタースクエアにあるTKSのことだな。だが、「並ばなきゃいけないし、人 気の作品のチケットは取れないことが多い」。おいおい。それじゃ、ダメじゃん。
 他の方法は……と見てみると、どうやら劇場に直接行ってボックス・オフィスと呼 ばれる窓口でチケットを買うのが一番確実らしい。良い席が余っていることもよくあ るとか。
 つーワケで、ロンドン2日目の昼はチケットを求めて劇場まわりをすることとなっ た。


コヴェント・ガーデン駅に到着!

観光名所のトラファルガー広場
かなりイギリス帝国的に威圧的

 まずは絶対に見たいミュージカルの一つ、『マイ・フェア・レディー』をゲットす るべくコヴェント・ガーデンにあるロイヤル・ドルリー・レーン劇場へ。
 ここはロンドン最古の劇場ということでも有名だし、何よりも『マイ・フェア・レ ディー』は8月いっぱいで一旦閉幕。これを逃すともう見られないかもしれないのだ。
 地下鉄をピカデリー・サーカス駅で乗り換えコベント・ガーデンで下車。平日の朝 だというのにストリート・ミュージシャンの演奏が響く中、通りを抜けて劇場へ。ロ ビーに入ると、なるほど「ロンドン最古!」「ロイヤル!」の香りがぷんぷん。
 さて、問題の英語力だが、私の場合、「アイ・ウォント・トゥデイズ・チケット」 で通じた。すると先方が、プライスはどうする? というようなことを聞いてくる。
 ロンドンの劇場は、1Fが「ストール」2Fが「ドレス・サークル」と呼ばれ、3F、4Fまではざらにある。大抵の場合、1Fと2Fの前半分が最高額で43ポンド (日本円で8000円くらい)次に32ポンド、28ポンドなどと続く。が、30ポンドを切ると、相当席は悪い。
 ややこしそうだが、実際は値段ごとに色分けされた座席表を見せてくれるから、そ れを指さし「アイ・ウォント・ジス」と欲しそうにすれば(これが大事!)なんとか 買える。ドルリー・レーンでは、なんと「ドレス・サークル」(2F)の一番前の席 をゲット。


このあたりは「マイ・フェア・レディー」の物語の舞台でもある

 その後、1時間半そこそこの間にケンブリッジ劇場で『アワハウス』、パレス劇場 で『レ・ミゼラブル』、ハー・マジェスティーズ劇場で『オペラ座の怪人』と4連続 ゲットした。劇場と劇場はどれも徒歩で回れる距離だし、道中はソーホーを通 ったり するので、ウィンドウ・ショッピングなども楽しめる。
 さらにその後、5枚目のチケットをゲットすべく、トラファルガー広場から2階建てバスに乗り、車窓からウェストミンスター寺院を見物するなど、観光気分で(まあ、 観光なんだけど)ビクトリア駅へ向かう。
 さて、ここで老婆心ながら皆さんにアドバイスを。ボックス・オフィスで買う場合、 チケットとともにレシートも要求しておいたほうがいい。
 そう強く感じたのは、5番目のアポロ・ビクトリア劇場を出てからのこと。私は日 曜着(日曜は殆どの劇場が休演)で土曜朝発なので、観劇できるのは平日の5日間な のだが、火曜から木曜にマチネがある作品を上手く組み合わせると、なんと8公演を 観ることが可能であることがわかった(月曜と金曜にマチネはあまりない)。それを整理して次のゲット作品を考えようと5枚を日付順に並べてみて、青ざめることにな る。
 『レ・ミゼラブル』のチケットの日付が土曜になっている! 土曜は出発の日だか ら観られない。たぶん私の「アイ・ウォント・サーズデイズ・チケット」の発音が悪 く、「サタディ」と聞こえてしまったらしい。
 慌ててとって返して、パレス劇場へ。「アイ・ミステーク。アイ・バイ・ディフォ レント・チケット」と妙な英語で、でも必死の形相で(これが大事!)訴えると、 「ドゥ・ユー・ハヴ・レシート?」と聞いてきた。はいはいはい、ちゃんと貰ってあ りますよ。とばかりにレシートを見せたら、苦笑まじりではあったが、木曜のチケッ ト(しかも席番は全く同じ!)に取り替えてくれた。
 結局、この失敗のおかげで、その日はそれで時間切れ。いよいよロンドン初観劇の 時間が迫っている。ドルリー・レーン劇場での『マイ・フェア・レディー』だ。その 詳細は、次号を待て!

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