浮かれてる。街全体がやたら浮かれてる。 どのカフェやパブのテラスも人で溢れかえり、誰も彼もがとんでもないテンションでしゃべりまくってる。一人で静かに飲む人間など誰もいない。 劇場の下見をするべく、地下鉄をピカデリー・サーカスで降りて、コヴェント・ガー デンまで歩いた時のロンドンの第一印象である。 繁華街の日曜はとにかく異様な空気に包まれていた。なんだよ? これ? ほんとうに紳士・淑女の街か? ニューヨークやロスよりも陽気じゃない? アメリカより もアメリカンだよ? ブリティッシュなのに? それにしても……そう、なぜか私はロンドンにいる! ほんの10日前まで、自分がロンドンの街にたった一人で立つことになるなんて思っても見なかったというのに。 |
![]() 空港からのヒースローエクスプレスの終着駅 パディントン |
![]() 繁華街で有名なピカデリーサーカス (撮影は到着の翌日) |
「ロンドンに行く!」と突然決めたのは6月末のこと。 初来日のサイモン・マクバーニーを、スタジオライフの曽世君はロンドンでよく観てるっていうし、ツッチー(土田英生)はこの夏からロンドン留学するっていうし、 「ゴーストライター」に出演してもらった好ちゃんは高校生の時に1ヶ月間ロンドン滞在して「すんごい良かった」っていうし、……なんだかロンドン気分がとてつもなく盛りあがってしまったのだ。 でも、本当に行けるのか? と自分のスケジュールをチェック。うーん。はずせない仕事が1週間入っていない時期はというと、7月13日〜20日。ここしかない。 おいおい、それってあと10日ほどしかねーよ。大丈夫かしら? そんなので行けるの? 不安になりながらもまずは普通のツアーを調べる。やっぱロンドン7日間で23万 円か。昔にくらべりゃ安いとはいえ……ううむ。次に格安航空券で有名なH社のHPにアクセスすると、な、なんと往復で5万円っていう広告が出てる。『地球の歩き方』 には1日6〜7千円の安ホテルも載ってる。ん。これならロンドン7日間を10万円 以内で行けそう。 早速、H社に電話してみた。残念ながら5万円の航空券は売りきれているという。 その次に安いチケットはないか? と聞いてみると、「予算は?」と聞かれた。本当 は「5万がダメでも7万円まで」と言いたかったのだけれど見栄を張って「せめて10万以内で」ところが電話口の向こうは相当驚いたというような声で「え? この時期のロンドンで10万ですか? ……ははー」。お客様、それはあり得ませんよというため息までつかれる。おいおい、HPに5万円の広告を載せている会社がなんで10万で非常識者扱いなんだよ。と切れかけたが、「探してみます」という返事にとりあえずは電話を切る。 数時間後、リターンの電話。「10万円代なら、アムステルダム経由便でKLMオランダ航空のチケットがありますね」日曜出発割引ということで13日出発に限るということらしい。ふむ。なんだかお得なカンジ。それ以外だと格安だと言ってもこの 時期の往復航空券は13〜14万円はするらしい。 なんだか安い物件に誘われて不動産屋に行って、結局、予算オーバーの部屋の契約書にサインしている時と同じ気分を味わいながら、10万円の航空券をゲット。 |
さて、次はホテルである。H社からFAXされてきたホテルのリストには『地球の歩き方』にのっているような激安のはない。しかも、ウェストエンドの劇場が集まっている周辺は特に高い。ていうか、東京で1万円クラスのホテルがロンドンでは2〜3万円するっていうのが相場のようだ。 めげずに、「1泊1万円以内で部屋にバス付」(1万円クラスではトイレ・バス共 同っていうのが多い!)という条件で調べてもらったところ、パディントン駅近くの 「ロンドン・クラウン・ホテル」というのがヒットした。6泊でジャスト6万円。 普段は1泊14000円の部屋代が、シーズン割引と連泊割引でこの金額になっているという。ふむ。なんだかお得なカンジ。というわけでそのホテルをゲット。 結局、航空券10万円と宿泊6万円で計16万円の旅行費。当初の目算の10万円から比べるとかなり高くなってしまったが、なに、ツアーの22万円から比べると6万円も安いじゃないか。良い買い物かも? なんて悦にいっていた私は、その後、驚愕の事実の数々に踊らされることになるのだが……詳細は次号以降で。 |
![]() これが、予約できたホテル。外観はよかったのだが…… |