観に来る人が胃もたれするぐらいおもしろい舞台にします。
 と、大きく出たのはG2。まぁ、しかし、上方落語版の前作『地獄八景‥浮世百景』の製作陣が、江戸落語をこれほどの役者をそろえてやろうってんだから、それぐらい大きく出たってバチは当たりゃしねえってもんだ。

 西岡徳馬(※「徳」は旧字です) が、ちょいとそば屋で一杯ひっかけてきて、「あんまりやると『オバマが〜』になっちゃいますから、控えましたが」と、記者陣の軽く笑いをとると、「3本ぐらい、ほかの仕事を断って」参加していると、この舞台への意気込みを。「ホンがとってもおもしろい。ケレンのある大きな出来事は何も起こらない。ただ生活しているだけの話なんですが、これは生涯でいちばん緊張する仕事になると思う」。

 艶やかな衣装で登場の須藤理彩は、この舞台に盛り込まれた落語の世界には、これまでふれたことがなく、今回初めてふれてみて、「いままでなんで知らなかったんだろうって思うぐらい、おもしろい。落語初心者でも楽しんで観られる作品になると思うし、そうなるようがんばります」

 それとは対照的な、ラフなセーター姿で現れた松尾貴史は、「だいたい、西岡さんや吉田さんのような重厚な役者が、落語のような芝居をやること自体が楽しみ」。多彩な役者陣について「この人間動物園のようなメンツで、どんな化学反応が起きるのか、私も楽しみだし、みなさんも楽しみにしてください」と、記者の笑いを誘っていた。

 落語界から参加の柳家花緑は、「演劇系落語家」と自己紹介。こちらも、「落語界には迷惑をかけて」と、このために仕事をいくつも断ったようで。「ふだんは共演者なしで、ひとりでやっているので、共演者がいるというだけで私にとっては大騒ぎ」と笑わせておいて。「ひとりでやってるよりも、そうとう立体的な人物像になるだろうし、それを見て、また、自分の落語にも生かしていきたい」。

「稽古の1カ月前に台本をくれて、ありがとう」と笑わせたのは、吉田鋼太郎。『MIDSUMMER CAROL〜ガマ王子vsザリガニ魔人〜』でのG2演出に話が及び、「日本で三本の指に入る演出家」とベタ褒め。「『日本で一番』とは言えない事情が私にはあるので、そこはお察しいただきたい」とオチまでみごと。

 古典落語の魅力という質問に応じて、「既成の価値観を小気味よくひっくり返してくれるところ。小さいころから落語が好きで、だから今回の仕事はとてもやりがいがある」と脚本をになう千葉雅子が言えば、「上方落語はギャグ中心でサービス精神に満ちているけれど、江戸落語は起承転結がしっかりしている」、と分析してみせたのは松尾貴史。今回の舞台は、それらの噺が入り交じったパラレルワールドになっているわけだが、それぞれの噺が持っている寓話性をいまに結びつけて、「人物像をきっちり描いた作品にしたい。だから、今回はほとんど一人一役です」とG2。これは、『地獄八景‥浮世百景』とは、またひと味ちがった作品になりそうだ。


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