また行っちゃった! 都合3度目の連載となるロンドン日記。
出国前は「3度目ともなれば慣れたもんよ」とうそぶいていましたがはてさて?
毎度のように観たいお芝居をいっぱい計画してロンドンへ向かったG2。
行ってみれば今回も新発見の連続だった旅日記をぜひお楽しみください。
▼#1
「3度目」の旅のはじまり

▼#2
ZはゾロのZ

▼#3
コンプリシテ

▼#4
『テーブル・マナー』視察


▼#5
モンティ・パイソン


▼#6
ロンドンの日々より




 ロンドン日記、とかタイトルつけてるけど、実は書いているのは、帰国してから思いだし思いだし書いてる。『フライパンと拳銃』の稽古場日誌も始まっているのに、G2は今どこにいるの? とお思いの皆様。私は今は日本にいます。
 でも、これを書くときは気持ちはロンドンへ。手がかりとなるのが、ロンドン旅行中のメモ、そのメモを読みながらとある「怒り」を思いだした。
 イギリスといえばステーキ。どの旅行書にもある。そういうわけで行くたびに1度はステーキハウス的な店に入る。今回も入りました。サーロイン・ステーキ。日本円にして五千円なり。ぜんぜん美味くない。固いしパサパサしてるし。日本でこれで五千円も取ったら誰も来ないよ。まあせいぜい千円くらいかな。日本のデニーズのステーキのほうがよっぽど美味い。
 サマセット・モームが「イギリスで美味しいものを食べたかったら、朝食を三回食え」と言ったというのもなるほどで、イングリッシュ・ブレックファーストはどこで食べても満足できる。(朝食をたくさん食べる人の場合だが)しかし、それ以外はハズレが多すぎる。まあ、もっとも超高級料理店には入っていないので実情はわかりませんが。でも一人2〜3万も出したら美味いで当たり前だっつーの。

本文に関係ないけど、『ライオンキング』をやっている劇場の外観

前回は改装中だったので外観の写真が撮れなかった。

 ロンドンで困るのが、夜のマイ・ウイスキー・タイム。私は一人でも酒を飲む。一人のときはオン・ザ・ロックに冷や奴が最高。取り合わせが悪いように見えるが、両方好物なので仕方がない。地方公演では必ず宿舎の近くのコンビニでウィスキーと冷や奴を入手、ホテルのアイス・サーバーで氷を入手して、このアンバランスな独り酒宴を開く。そのおかげで私なりのゴージャスな気分で眠りにつけるのだ。
 と、ところが。ロンドンでは前回も書いたがコンビニで豆腐が売ってるなんてことは全くなく、しかもビジネスホテルにアイス・サーバーなんぞありゃしない。コンビニでも氷を売っているのは稀。置いている店でも数袋しかないので売り切れでガッカリすることも多い。
 そういうわけで私は、まだ売り切れ居ていないマチネ観劇後に氷を購入し、コンビニ袋で二重三重にして、ホテルのデスクの机の中に入れ「簡易冷蔵庫」を作り、(これがけっこう持つんですよ。ソワレ観劇後でもほとんど溶けていない)みたいな苦労をして、オン・ザ・ロックの生活を確保する次第なのである。

 前置きが長くなってしまった。
 今日はマチネが『モンティ・パイソンのスパムロット』ソワレが『マウストラップ(ねずみとり)』という2本を観劇した。



 『モンティ・パイソンのスパムロット』は、とにかく笑った。私の英語力でもけっこう笑えた。そして感心したのはあれほどくだらないギャグの連発なのに、歌やダンスのレベルが高いこと。そして舞台装置。確信犯的にマンガチックでおバカなデザインなのだが、いきつくところまで行っているのと、舞台空間がきっちり計算されているので、転換や演技とのからみも絶妙で演劇ファンを唸らせるなにかがある。お馴染みのテリー・ギリアムのアニメも映像で楽しめる。
 まずは前奏曲。おごそかに始まったはずが、調子っぱずれの音を出してしまうホルン奏者。思わず指揮者が拳銃を取り出して射殺。あとは何事もなかったように演奏が続く。
 イギリス紳士風の語り手が出てきて「イングランドの王・アーサーの物語である」と告げ、幕が上がる。
 と、その瞬間、隣の女性が「もうこれは本当に愉快すぎます、たまりませんわ」というような豪快かつ幸せな笑い声をたてる。(本当に隣の女性は「ゲラ」で、でも、おかげでこちらもつられて笑うことができて、コメディー・ミュージカル観劇としては良い環境だった)
 それもそのはず、幕があいて登場したのはなんとも場違いな人たちのダンス。しかも無意味に陽気である。さきほどの英国紳士が飛び出してきて、「私がさっき言ったのはイングランド。フィンランドじゃない」その言葉を聞いてすごすごと舞台を去っていくフィランド人のダンサーたち。冒頭から全く意味のないオープニングダンスなのであった。


 アーサー王とその家来が主人公。二人は水の妖精が「手に入れなさい」と告げた聖杯を探す旅に出て、いろんな場面に遭遇する。
 例えばこうだ。墓掘りが死体を運んでいる。が、そのうちの若い男は「自分は死んではしない。気分もいい」と訴えるのだが相手にしてもらえない。そのうち他の死者もむっくりと起き上がって「こいつは生きているよ」と歌とダンスで訴える。めんどくさがった墓掘りはフライパンで生きている人間の頭をぶったたく。「今は死んじゃったよ」と歌う死者たち。
 巨人が登場して(いやほんとに巨大。舞台いっぱいに足しか見えないくらい)何かを告げ、ジェット噴射で飛んで去っていく。
 フランス軍の門を突破するためにトロイの木馬ならぬ、巨大な木造のウサギを用意。(こいつが登場するだけで笑えるパワーがあるデザイン)門の前においておく。やがて出てきたフランス人たちが戦利品として中へ入れる。だが、アーサー王たちはその中に隠れるのを忘れていたので、門の中に入ることはできなかったのであった。というオチで一幕終了。
 この間、次々と場面が変わり、歌と踊りが堪能できる。それも懐かしい雰囲気の。ただし、ダンスの中にも必ずオチがある。
 ダンスシーンで活躍するのが異様に背の高い女性たち。おかげで男性たちが矮小な存在に見えてバカバカしさが増す。女性たちが常にたたえている笑顔も素敵。「私バカなんです。それを観に来てるあんたたちお客さんもバカでしょう?」という不敵な笑顔なのだ。

 二幕は、かつてのテレビシリーズのモンティ・パイソンのノリで、ちょっと分かりにくくなりはしたが充分楽しめた。
 最後に立ちふさがる敵は、ちいさなウサギが一羽。これが見かけによらず凶暴で味方の首をあというまに食いちぎってしまう。これを爆薬でやっつけてみると、そこに「DONE!」の文字。「やったー!」というような意味であろうが、「やったーって言われてもなあ。聖杯はどこにあんだよ?」という雰囲気。と、誰かが「ダン」ではなく「ディーワン」と読むのではないか? と暗号を解読する。結局、座席番号のD1に隠されていることが判明。見事聖杯を手にする。協力者であるD1にお座りの観客が呼び出されてちょいと客さわり。キャラクターのある男の子だったので盛り上がった。
 最後によかったねダンスで終幕。

 ところでこの作品を上演していたのがパレス劇場。『レ・ミゼラブル』『ウーマン・イン・ホワイト』に続き、わたしにとって三度目の来場である。一階席のバーが雰囲気がいい。その裏にはパレス劇場の歴史が写真と資料で展示されている。






 さて、このあとはソワレに観劇した『マウストラップ』であるが、それはまた次回に。



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【キーワード】
























『フライパンと拳銃』
11/28〜東京グローブ座
まもなく開演!






サマセット・モーム
1874年1月25日 〜 1965年12月16日
イギリスの小説、劇作家
『月と六ペンス』が有名






















前回は改装中
ロンドン日記苦闘編の最終回にて改装中の写真もごらんいただけます



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