また行っちゃった! 都合3度目の連載となるロンドン日記。
出国前は「3度目ともなれば慣れたもんよ」とうそぶいていましたがはてさて?
毎度のように観たいお芝居をいっぱい計画してロンドンへ向かったG2。
行ってみれば今回も新発見の連続だった旅日記をぜひお楽しみください。
▼#1
「3度目」の旅のはじまり


▼#2
ZはゾロのZ


▼#3
コンプリシテ


▼#4
『テーブル・マナー』視察


▼#5
モンティ・パイソン


▼#6
ロンドンの日々より


 ちなみに今回のロンドン、午前中は旅行中なのにも関わらずお仕事だった。しかも時代劇の企画書とプロットを書くという、なんでロンドンでわざわざ、というような仕事。
 でもね、かのノエル・カワードもフランスが舞台の喜劇『私生活』を日本旅行中に着想し、香港で(たった5日で)書き上げたというから、旅行中にだってどんなものが生まれるか可能性は計り知れない。ところで余談だが『私生活』より、私は昔の邦題の『焼け棒杭に火がついて』のほうが下品だけど内容を的確に表していて好き。けどまあ死語ではあるので、同じ意味で違う表現はないものかしらん。

 宿泊しているナショナル・ホテルは、前回のロンドン日記でいろいろ書いた。悪いホテルではないし、今回は部屋の見晴らしが良かったので前回よりもずっと満足。それにしてもこのホテルの部屋数の多さは半端じゃない。



 欠点としては周辺が寂しい。お店の類が少ないのだ。だから前回まではホテルのコーヒーハウスで仕事をすることが多かったが、今日は少し散歩をしてみた。
 駅も越えて、しばらく隣の駅まで歩いてみると、ほんの数分で通りは賑やかになってきて、私好みの街角が開けてきた。なんだ、こっちに少し歩けばよかったんだ。と前回の旅行を少し後悔。
 今日は、スターバックスで仕事をすることに。いや、日本もロンドンもスタバでの仕事ははかどります。


 スタバなんて日本でもある店に入ったついでに昼食はサブウェイのサンドイッチにしてみた。

これは意外にお勧め。基本的にまずいロンドンの食事の中では初めて「美味いっ!」と思わず口にしたサンドイッチだった。しかも日本のサブウェイより美味い。特にパン生地が。種類も多いし。


 今日は観劇予定は19時30分からの『テーブル・マナー』だけ。そう、来年のAGAPE storeで取り上げる作品だ。この作品を見逃すことになると今回来た意味がほとんどない。けれど三部作を一挙公開という変則スケジュールのため、旅行中は、金曜日の19時30分開演の公演しか観ることができない。 
 ロンドンの金曜日は、マチネ15時、ソワレは20時以降っていうのが普通。これが19時30分だと、別の公演のマチネを観ていたら間に合わなくなってしまう可能性がある。そういうわけで今日は1本だけの観劇となってしまった。

 夜までずっと仕事をしてるってのもあまりにも能がないので、金田一くんから紹介されたナショナル・ギャラリーに行ってみることにした。
 自分が行きたいコートールド・ギャラリーもわりと近くだ。ホテルから散歩がてら二つの美術館をまわっても徒歩20分くらいだろう。
 しかも、その途中にはさきほどふれた私のお気に入りの町並みがあるので、退屈はしない。

 実際、道中でかなり大きめなスーパーマーケットを発見。嬉々としてウィンドウ・ショッピングを楽しんだ。海外のスーパーマーケットのウィンドウ・ショッピングほど楽しいものはない。並んでいるものが珍しいし、店員に「May I help you? 」と話しかけられる煩わしさもない。
 スーパーを歩いていて、こっちで手に入らないものは「豆腐」だと気がついた。それに気がつくと無性に豆腐が食べたくなった。以来帰国まで、スーパーやコンビニの類に入るごとに豆腐を探したが発見することはできなかった。(お寿司を置いているコンビニはざらなんだけど)仕方なく或る夜などは、コンビニでゆで卵を購入、その白身だけを食べて、なんとなく豆腐気分を味わった。「あ、麻婆豆腐を売ってるわけだから、中華街へ行けばあったのでは」と気づいたのは皮肉なことに帰国する日だった。


 金田一くんのお勧めのナショナル・ギャラリーは確かに凄かった。一枚一枚じっくり鑑賞していたら一日では観ることはできないだろう。さくさくっというテンポでも見れば見るほど次の絵が現れ、次の部屋が現れと、どれだけ広いんだ、この美術館。しかも巨大な絵が多く、とにかく圧倒される。
 ただ、ここまで徒歩20分かけて歩いてきたのは大失敗だ。美術館内で40分以上も歩くことになったのだから。




 一方のコートールド・ギャラリーは小さいながらも「有名な絵」が多く、これはこれで見応えがあった。

 ところでこの二つの美術館を巡ったことで初体験したことがある。それは恥ずかしながらゴッホの絵を生まれて初めて生で見たということだ。(ゴッホのファンだと自認してるくせにですよ)で、本物のゴッホを見てどう思ったかというと、正直「がっかり」だったのである。あまりにも期待が大きかったこともある。写真で見てこれだけ感動するんだから生をみたらどうよ。と胸を膨らませていたのだが、正直、生でみてもなんら感動するわけでもなく、むしろ「え、こんなもんなの?」と思ってしまった。特に「ひまわり」とか「ふーん」としか思えなくて。まだ「自画像」はそんなに失望しなかったが、「え? こんなに小さな絵だったの」という肩すかしをくらった。
 逆に「おっ」と思ったのがルノワール。ナショナル・ギャラリーの溢れんばかりの枚数の絵の中で埋もれることなく、思わず目を奪われると、それはたいていルノワールの絵だったりした。だから、どう? という話でもないが。
 ちなみにナショナル・ギャラリーは、入場無料。その代わりに入り口付近で寄付を求めるボックスがある。寄付だけでこれだけの巨大な美術館を運営できるとは、おそるべし大英帝国。


 さてお待ちかね『テーブル・マナー』の観劇である。



 ウエスト・エンドからは少し離れたワーテルロー駅近くにあるオールド・ヴィック・シアター。劇場内に足を踏み入れると思わず「やられた」と感じた。本当は自分がやりたかった演出方法を採用していることが一目でわかったからだ。
 本来舞台があるはずの場所に客席が増設されている。(しかも二階席まである!)舞台は劇場の中央に円形に作られ、観客が取り巻く形式だ。青山円形劇場の客席数を三倍にしたような感じであろうか。

 この作品を観客がステージを取り囲む演出でやる、というのは大正解だと思う。自分もそうしたいのは山々なのだが、日本で押さえている劇場の関係でそうはいかない。作者のエイクボーン自身が演出した初演も劇場の機構上、こういう演出はできなかったはずだから、これは今回のロンドンの再演の際に工夫されたものであろう。開演前からなぜか悔しさがこみあげてくる。
 さあ、いよいよ開演だ。
 意外に感じたのは、観客が取り囲む形式にしては役者は案外動かないということ。こういう形式では役者をやや多めに動かしてどっちの客席からも役者の顔が均等に見えるように配慮しがちなのだが、この演出家はそういう観客サービスは考えていないらしい。
 しかし、序盤の状況説明の段階から、観客は湧きに湧いた。大爆笑の連続なのである。日本で英語の台本を読んだときに「これは笑えるけどシニカルなクスクス笑いかな?」と感じた箇所でも大爆笑が炸裂しているのである。まさに鉄板の笑い。それも波状攻撃で。
 これには正直あせった。自分の英語力の無さで「笑いのツボ」がわかっていない箇所がかなりあるようだ。帰国したら再検討せねば。
 役者の演技については、かなり好感が持てた。構造としてはコメディーであるが、シリアスドラマを演じるのと変わらない演技。そのことがよけいにコメディーの面白さを引き立てるし、どよーんとした毒のあるエイクボーン脚本の良さが生かされる。
 ただ、ラストーシーンでは「んー?」と考え込んでしまった私。終幕がちゃんと「落ちて」ないのである。笑いを取る「オチ」ではなく、「一本のお芝居が今、まさに終わったなあ」という感慨に薄いのである。
 これはロンドンでの今回の企画が、三部作一挙上演ということにその理由があるのだろうと思われる。つまり第二部のチケットを買わせるための演出というわけだ。続きが気にならなければ第二部の観客が減ってしまう。
 しかしこれは私にとっては全く参考にならないラストだ。何しろ来年やる日本版は、第一部だけの上演なので、第一部のラストできっちりお客さんを納得させねばならない。その方法についてロンドンではいかなる手段を講じているのかと興味津々だったものだから肩すかしをくらった形になった。ま、結局は自分でなんとか生み出さねばならぬということなのだな。頑張ろうっと。
 終演後、劇場ロビーで、三部作がすべて掲載された台本を購入する。日本では第二部、第三部の台本は入手不可能だったので、これは収穫である。来年のAGAPE storeの稽古前までに是非目を通しておきたいが……もちろん英語で書かれている。果たして私の英語力で読み切る時間がこの多忙なる年末に取れるかどうか。 
 どなたか勉強を兼ねてボランティアで翻訳してあげるよっていう奇特な方がいらっしゃったら、ぜひともメールでお知らせください。




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ノエル・カワード
イギリスの俳優・作家・脚本家・演出家。
1899年12月16日 - 1973年3月26日
厳格な雰囲気のシリアスな舞台が主流だった時代において、かるいタッチの恋愛ものや軽妙な喜劇作品を発表し熱狂的な支持を集めた。当時のファッションにも大きな影響を与えたという。

ナショナル・ホテル
前回のロンドン日記でも登場。 いま読み返して、ホテルの外装がちょっぴり変わっていることに気がつきました。




























スターバックス
ご存知、アメリカはシアトル発祥で世界を席巻するコーヒー店。ロンドンにもありました。当たり前か。
















サブウェイ
やはりご存知、アメリカはコネチカットからはじまり、いまでは世界に2万店を数えるサンドウィッチ店。
店名は「地下鉄」の意味では無いですよん。
くわしくはこちらから「フレッド・デルーカ物語」を!












『テーブル・マナー』
そんなわけでこちらはAGAPE store版です。
11/29から先行ネットリザーブあります!

ナショナル・ギャラリー
1824年設立。
1838年に現在の場所に移転。ポスト印象派までの海外作品を中心に所蔵。

コートールド・ギャラリー
絹織物業で財を成した故サミュエル・コートールド氏の個人コレクションからスタートした美術館。ゴッホ、ドガ、マネ、ゴーギャン、セザンヌなど、印象派の作品を多く所蔵。

















































































































































ワーテルロー駅
Waterloo station
正確には「ウォータールー」と発音するほうが近いぽいです




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