昨年の『魔界転生』に続き、
今年も中村橋之助& G2コンビでお送りする時代劇は、幕末を舞台にした『憑神』
出演者の中から、 G2作品でおなじみのこのお三方に話を聞きました!


――ホンを読まれての感想を……

コング 原作を、升さんから借りて読んでてね、泣いた、泣いた。

福田 泣いたんですか?

コング 泣けて、しゃーなかったよ、最後のほう。ちょっと体の調子が悪かったので、家にこもって一気に読めた。ほんま、ええ話で。

――コングさんの役どころは……

コング 相撲取りで、実は……詳しくは言わんほうがええんやろね。(台本の)準備稿を読ませてもらって、楽しいなーと。でも、転球、ええ役やなー。

福田 そうですかね。

 ええよー。

――転球さんは「小文吾」で、少し足りない感じだけど……って役ですね。

福田 いい役ですね、途中でいなくならないし(一同爆笑)。

 最後、(中村橋之助さんと)ツーショットじゃない?

福田 あ、そうか。ちょっとヤバイですね。ホンマに二人でハケ(花道を出る)だったら、スゴいことですね。

――升さんは……。


 私は伊勢屋でございます。大店の気のいい旦那です。

――明らかに升さんに当てて書かれている台本ですね。

 あ、そうですか?

コング うん。そんな感じしたわ。

 あー、原作を読んでると、ふくよかなイメージで書かれてるけれど、僕がやるということで、ちょっとスリムでスマートな感じになってますよね、確かに。おもしろエッセンスもちょっと入れてあって、笑いも担当してくれよー、みたいな( G2の)思惑がプンプンしております(一同笑)。

福田 意外に、楽しいお話ですよね。

 そうそう。いいお話だよね。

コング 原作やと、お兄さんの嫁はんがちょっと鬼嫁だけど。

 (ホンだと)それが、いき過ぎてないし、青山もおマヌケで終わってるし。

コング 榎本武揚と彦四郎の間も、原作ほどトゲトゲしさがないしね。そば屋の情景が原作とは、ずいぶん違いますよね。

 (原作の)屋台と茶店が合体したような感じだよね。あのそば屋がちょっと中心になりそうだね。いろいろな人が集まってきて……。

コング うん、出世払いっていうところも素敵だし、あのへんは僕の泣きどころやね。だけど、G2の脚本だから「ムカーっ」とか書いてある。

 自分の口癖やん(笑)。あのね、 G2の悪いところはね、相撲取りは「そうでごんす」とか「ごわす」って言うと思ってる。その発想がおかしいわ(一同笑)。


――時代小説はけっこう読まれてるんですか?

コング 3年前に東京に引っ越して来てから読むようになったの。それまではぜんぜん。東京に来て、自分が住んでるところが池波(正太郎)先生の本に出てるから。

 料理の話がまた、いろいろ出てくるからね。

コング 食いしん坊のオレには、たまらんね。でも、今回のような幕末の話は、また少し違うよね。ひとつの時代が終わって、次の時代になる、そこで男はどう生きるのか、っていうことが、今回のお芝居でもベースになってると思う。

 去年、僕は『白虎隊』というドラマをやらせていただいて、その時代をちょっとだけ勉強したんだけど、やっぱりキツイ時代やなーと。忠義を尽くす美しさと、でも、若い子たちは死んでいく。すごい裏切りがふつうに起こったりだとか。

コング 武士としてどう生きるかというのは、がんじがらめのたまらん世界ですもんね。だからこそ僕は好きで、そういうしんどい世界で、まして、目に見えない忠義に生きている人たち。一方、商人とかは、お気楽に生きている。そこが、たまらんですね。

 まさに今回の彦四郎(中村橋之助演じる主人公)が、そんなポジションで葛藤する。それが意外な方へ転がっていくのが、深い話だよね。

コング 死神のセリフの中で、「神様は舞台装置を作るだけ。どう演じるかは人間次第」というのがあるけど、ああいうところはたまらんね。僕はクリスチャンだから、よけいにそういうところは感じる。


コング 去年はみなさんの『魔界転生』を見せていただいてたから、今回は参加させてもらって、うれしいですね。

 お、いい話の展開ですね。

――(笑)前回の『魔界転生』はいかがでした?

 9月公演だったから、ちょうど1年前ですね。前回はね、個人としては初めての商業演劇で、 G2がやるから僕らの小劇場の世界も入れようということで……でも、どうなんねやろー、と……うまくいったらおもしろいけど、歌舞伎の人がいて、商業演劇もやってきた俳優の先輩方もいて、僕らのような関西系の小劇場出のやからがいっぱいいて、成宮(寛貴)くんのようなちょっとイケメン系の子もいて、と、それぞれのやり方があるから、果たしてひとつにまとまるのかなーと。でも、結果としてはすごい楽しい稽古場だったし、やりがいもあった。1カ月で40ステージやることなんて、なかなかないからね。お客さんも、橋之助さんのお客さん、成宮くんのお客さんと、いろんな方がいらっしゃって、僕らが芝居をやるときとはちょっと違ったし。貸し切りの日もあって、その日は区が招待したお年寄りがいらっしゃる。お弁当とお芝居というセットをおじいちゃん、おばあちゃんにプレゼントするわけですよ。それで観に来られる方には、誰が出てるとか、どんな話とか、関係ないんだよね。芝居中におしゃべりはするわ、トイレに立つわ(笑)。

福田 今回もあるんでしょうかね?

 あるでしょう。それが前半の方にかたまってたので、本番稽古じゃないけど、いろんなことが試せたりもしたんだよね。ちょっとおもしろい体験でしたね。

福田 休憩が、 20分と30分の2回あって、長かったですね。本番中も、出番のないときがかなりあって、それをどう過ごすのか、っていうのを考えてましたね。

――どう過ごされたんです?

福田 まあ、横になるとか(一同笑)。休憩時間には、楽屋でお鍋をやったりとか、けっこう楽しかったですね。

 なかなかあの扮装を解いて、外へ出るというのはむずかしいからね。築地が近いから、朝、築地に寄って……

――鍋の具を仕入れた?

福田 いや、ごはんを食べてたんです。近くのレストランの朝食バイキングが最高なんです。ちょっと体にやさしい感じの食材になってて。

コング 連れてって。

福田 もちろん。バイキングだから十分腹いっぱいになりますよ。

コング 今回、太らなあかんし。

福田 もう十分でしょ(笑)。

コング 原作から言うたら、まだまだ。

 肉布団を入れなあかん?

コング ホンマに。初めての肉布団(一同爆笑)。


コング 升さんとからめるシーンが、説明コーナーでありますよね。

 そうそう。前回ね、セキやん(関秀人)とタイちゃん(陰山泰)がやってた。

福田 あれ、お客さんが喜んでましたねー。

コング よかったよー、わかりやすくて。

 稽古場では、これはヒドいことになると言ってたのが、意外や意外。名乗っただけで拍手が来て、二人のテンションがぐっと上がったからね。よっしゃーって。

コング あれは、おもしろかった。

 三幕の幕開けで、休憩あとでちょっとお話を忘れかけてるところに入るのがよかった。今回は違うんだよね。新しいことを説明してるから、これ(腕をたたく)がいるよ。

コング けど、それほど説明せんでもええことを言うてるやん。

 いまのところね。でも、G2なら、(マイクの向こうにいるG2に語りかけるように)もっともっとおもしろくするはずやで。オープニングはどうすんのかな。前回のダンス形式のは、すっごくカッコよかったよね。

コング うん、あれ、カッコよかったよ。

――『魔界転生』は装置も大仕掛けでしたね。

 最後のほうで、舞台がぐるぐる回ってたでしょ。あれ、ヤバかったね。客席から見えないように隠れたり、逆にぐっと出ていったり、と、そういうのがたいへん。

福田 その間に何回も切られて死んでますからね。

コング あれは、おもろかった。

 また、舞台の表裏だけじゃなくて、セットとセットの間の通路もあったからね。

コング ホンマ、大笑いしたもん。(橋之助のセリフをまねて)「斬っても、斬ってもキリがない」(一同笑)。今回、裏にトランポリンとか仕込んで、すーって飛びたいね。

福田 あぶないですよ(笑)。

コング それか、ワイヤー。

 飛んだらおもろいけど……たとえば、アンちゃん(鈴木杏)とか、わーって上がっていくのに、コングは 30センチぐらいしか浮いてないってのは、おもしろいかも(笑)。

――では、最後にG2に望むことを……

 まあ前回の経験を生かして、よりよいものにきっとするだろうから、楽しみにしてます。僕は最後に立ち回りがあるなら、わりとちゃんとやらせていただきたい。

福田 本気モードで?

 うん。

コング けどワイヤーは 50センチ(一同笑)。僕は、この前、キャラメルボックスに出させてもらって、G2さんに観てもらってほめてもらえたから、がんばろ、って思ってます。

 何年生なんや(一同笑)。

福田 前のがちょっと怖いというか、なんともいえん不気味な感じだったので、今回は楽しい、それこそ、じっちゃん、ばっちゃんが喜んでくれるような舞台をつくっていただけたら、うれしいです。

 (妙にさわやかに)それに応えられる僕たちでいたいね。

福田 (ヘンに気合いを入れて)そうですね。

コング がんばりますでごわす。




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