2009年12月11日。
 この日に向かって稽古を重ねてきたミュージカル『Nine』がいよいよ幕を開ける。
 本番前に行われたゲネプロダクションを取材してきたので、その模様をいちはやくお届けさせていただきます。

 開演前、席に座ってまず受けたのが「セットがとてもシンプルだな」という印象。しかし、その時点で演出家G2の策にはまっていたわけですが…。
 やがて9つの鐘の音が響きわたり開演を迎えます。余談ですが、開演前のアナウンスも注意して聴くときっと楽しいですよ。


 ものがたりはとあるスタジオから始まります。9人の女性の9人9様のかけあい。そこに見え隠れする映画監督グイドの抱える問題。自分が情熱を注いでいる映画製作の仕事。しかし、すべてが思うようにはいかず苦悩する。一見傲慢であり繊細なグイド。一筋縄ではいかない人物を松岡充が見事に体現し引き込まれます。


 グイドのまわりをめぐってゆく9人の女たち。グイドの欲する理想の女性、妻、愛人、プロデューサー、など、幼き日から現在にまで影響を与えてきた女たちがグイドの人間像を掘り下げてゆく。豪華キャスト揃いの9人だが、おどろくべきなのが、松岡を含む10人がほぼ出ずっぱりで舞台を描いているところ。なにげなくそこに居るのではなく、舞台の一部として常に存在しているという、捨てどころのない密度の高いシーンの連続。


 シンプルに感じたセットはいつしか多彩に変化をひろげ。ときに幻想的に、ときにカタルシスにあふれ、ときには哀愁を帯び…、そして重要な音楽はイタリアの空気感をたっぷりと含んだ音色が響き渡り、あわせてものがたりを引き立ててゆく。


 はたして、グイドのものがたりはどのような結末を迎えるのか、もちろんそれをここでお伝えするわけにはいきません。
 ここでお見せできないシーンもたくさん。そしてもちろんすばらしい歌の数々もお聴かせすることができません。ぜひ劇場にて、新しく生まれ変わったミュージカル『Nine』をおたのしみください。