バラエティ豊かなキャストの面々でお迎えする『地獄八景‥浮世百景』
そこで、特別企画として、キャストの皆様のご紹介を松尾貴史とG2が担当させていただきます。


アッ君とやるのは今回が初めて。だけど、お互いの公演はよく見てもらったり見に行ったりしていて、飲みの席で会うこともしばしば。3年くらい前からそんな席で「いつか一緒にやろうよ」と約束していたのが今回叶うことになった。とにかく熱い男で、単純明快。芝居の話になると「要はココでしょ?」と胸をどんと叩く姿は、同姓の目から見てもたくましく、そして可愛い。
高橋由美子ちゃんとは幼なじみで、しかも、今回、初顔合せとか。これ、びっくりでしょ? どこかで共演してそうな二人なのにね。(G2)

酒豪の由美子ちゃん。小さな体のどこに酒が入っていくのか。きっと吸収しているのはアルコールだけではなく、色んな情報や技や想いや根性やセンスなんだろうなあ。昔、深夜3時くらいまでしこたま飲んでいたら、なぜかその店に置いてあった野球のグローブとボールを手にして、私を相手に渋谷の裏路地でキャッチボールを始めた彼女。私はもうへろへろだったけど、彼女は明日の仕事の事を考えていたのだった。「明日、プロ野球の始球式があるんです。もうちょっと後ろに下がってください!」(松尾)

彼とは、「中島らも門下」の兄弟弟子である。そして、圭哉は一番らもさんの事を理解していた子分ではないだろうか。証拠を残さない正義漢。気持ちのいい男だなあ。粋です。私の持っていない物を全て持っているような気がする。妹がまたメッチャクチャ綺麗で可愛い。いや本当。すごい。子供も可愛い。本人は男前。突っ込み上手。形もリアルもお手の物。こういう人が日本にあと3〜4人いれば、人違いしてしまうだろうと思う。そして、妹が可愛い。(松尾)

私が一番怖いと思う女優である。本当に、この人だけは恐れる。畏れる。怖れる。何が怖いって、綺麗でしょう。芸達者でしょう。私はいつも稽古場や楽屋でしょうもないことを言うでしょう。笑いながら冷ややかに目を光らせたり曇らせたり自由自在なのですよ。最近になってそれが、私の言動の質によるものではなく、お腹が空いているかどうかという事がわかってきたのだけれども、そこがまた怖いではないか。仄暗い腹の底から。(松尾)

大阪のHEPホールのプロデュース公演に出ているのを観た。というだけで今回参加してもらうことに。それはシェイクスピアの「真夏の夜の夢」をレゲエ・ミュージカル仕立てにした作品で、彼はオーベロンの役。関西の元気どころの役者さんがたくさん出ているなかで、彼はひときわ目立っていた。終始ハイテンションで大阪弁を交えながら、ステージを走り回る姿が印象的。今回も、そのテンションの高さを期待しての起用。思う存分暴れて欲しい人。(G2)

関西ローカルの深夜ドラマを撮った時に「せっかくの機会だから、誰か面白い女優さんを紹介して」と逢わせてもらったのが彼女。そのドラマは、ギャグ&サスペンスな作品だったが、まさにギャグとサスペンスという折り合わない二面を見事に背負って演じきってくれた。普段のお人柄は、のんびりしてると言うか、天然ボケなキャラなんだけど、実は「無名塾」出身という実力派。その危うげなバランスが彼女の魅力の秘密なのだろうと私は睨んでいる。(G2)

最初に彼に会ったのは、5年ほど前だっただろうか。米朝師匠のサンケイホールの独演会打ち上げで、その小柄な体で2升5合の大瓶を抱え、大師匠の鞄を肩からたすきがけにして、会場内を仕切って回る小僧さんのような姿を微笑ましく見かけたときだ。色んな交流で、東京の噺家さんからも「しっかりしている」「任せて安心」と定評の、芸道一筋、演芸評論家も舌を巻きそうな博識。明け方まで国宝のお酒の相手をしては、早朝遠方の落語会に出かける働き者。どんな風に化けられるのか思いっ糞楽しみな人なのだ。(松尾)

スーパー歌舞伎での艶やかな女形のイメージと違って、素顔でお会いする笑也さんは、物腰の柔らかな誠実感あふれるおじさま。喜劇も関西弁での演技も初めてということで「びしびし、いろいろ言ってくださいね」と勉強家ぶりが伺える。お呼びした側の私も「江戸時代」については素人同然、そのあたりは笑也おじさまにいろいろとお教えを請うつもり。早替えの時にあざやかに変わり過ぎる為に、二役であることをお客さまに気づいてもらえないのが悩みらしい。(G2)

我が敬愛する、故・桂吉朝さんのお弟子さん。まだだという方は、彼の生の高座を是非見てほしい。私の主観で言わせてもらえば、吉朝さんの端正で洒脱、洗練された巧緻な芸風を、見事に継承している、上方落語界の宝、準々人間国宝。そんな貴重な立場である事を知ってか知らずか、ある日曜には大河ドラマに出ていたかと思うと、ある日曜には「アタック!25」に素人の解答者として本名で出場して、2問答えて撃沈する妙なところもある不思議ちゃん。(松尾)

20年に及ぶおつきあい、そして11年間は同じ釜の飯を食った仲。MOTHER解散後しばらくは、敢えてご一緒するのを控え目にしていたのだが、いまやその年季(?)も明けて、今回は「魔界転生」に続いての登板。「魔界」では、シリアスな役だったにもかかわらず、ついつい升用にちらりとギャグ台詞を書いてしまった私。そこでキッチリと笑いをとってくれた升兄。この作品では、そのコメディアンぶりが本当に久しぶりに完全発揮される。楽しみ。堪能しませう。(G2)

20代の後半で最初に彼と会った時には(声を大にして言うことでもないが)知識量という面では私のほうが勝っていたはず。社会のことも映画のことも本のことも。でもね、この20年の間にそれは完全に逆転した。いや逆転以上である。もはや膨大なキッチュの知識量の前に、ただただひざまずくだけだ。この逆転劇の裏には彼の忍耐強い努力があるはず。いや、彼によればそれは「努力」ではなく「遊び」なのだそうだ。そんな彼と、今回もじっくり遊ぼうと思う。(G2)

Illustration by 東學

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