池田 それで『ヴァニティーズ』って作品を選んだきっかけはなんだったんですか。
深沢 それは私が「『ヴァニティーズ』がいいんじゃないの?」って提案したの。前から、40歳になってからやりたいと思ってた作品だったから。肉体的にはそろそろ、もうダメかなってときにやりたかったのよね。
池田 腐りかけのときに?(笑)
深沢 そう。で、篠井さんと僕で、大谷さんの一人芝居を観に行ったら、とてもよかったのね。おばあさんを演じてたんだけど、女にしか見えないし、すごくステキだったんで「これだったらいいよね、大谷さんと3人でやっても」みたいな話になって。
池田 なるほど。僕もちょっと台本を読んでみたんですが、かなり若い、ハイスクール時代の場面が長いですよね。そのへんは、どんな感じなんでしょうか。
G2 まだ稽古が始まったばかりで、若い頃の第一場はチアリーディング、ダンスの稽古しかしてないんです。篠井さんの提案で、第三場からやりましょうってことになってて。
池田 遡っていくわけですね。
G2 とりあえず一番若い、わかる年齢のところからってことで。
篠井 といっても、28歳なんですけどね(笑)。まあ、まずはオバサンんっぽくやれるとこから。
池田 誰がどの役をやるんですか?
深沢 あなたの予想は?
池田 最初、若い頃の場を読んだら、メアリーはあっちゃん、ジョアンが大谷さんで、キャシーが英介さんかなと思ったんだけど。二場、三場を読んでみたらちょっと悩みはじめちゃって。とりあえずジョアンは大谷さんだろうけど、2人はどっちなんだろうって、すごく興味が出てきたんです。どうなんですか?
深沢 最初のほうで正解。
池田 やっぱりそうか。まあ、一応わかりやすい、見た感じでOKというか。
G2 そうだね、俺も篠井さんも、成志さんと同じように思ってた。でも「もっとああだこうだしましょうか」とも言ってたんだけど。

深沢 そうそう。でも1回読んでみたら「これでいいんじゃない?」ってことになって。
篠井 それぞれ、三人三様の共通点があって、「ハマってるんじゃない〜?」って思いながらやってますよ。
深沢 私はホラ、セックスの観念が、わりと共通してるし。
池田 野方図というか、だらしがないというか。確かにそうですねえ。
大谷 野方図(笑)
G2 あと、意外なのは大谷さん。すごく心配してたんですね、いろんな意味で(笑)。ホントに女性になれるのかなっていうのもあったし。でもパンフに載せた写真なんて、ビックリしたよ、できあがってきたら。大谷さん本人も、ちょっと有頂天になってた。
大谷 その気になって眺めてただけだって。
G2 その姿が、また妙にキュートで(笑)。ああ、これはやれるかもしれないって思った。
池田 じゃ、外見はクリア、と。でも僕も、合ってる気がしますね。
大谷 ありがとう、がんばりますよ。
G2 今日は第三場を稽古したんですけど、ちょっとジーンとしちゃったからね。
池田 悲しい人ですよね、ジョアンは。
篠井 しかも、かわいいし。ひょっとしたら、僕の演じる女形よりもかなり、かわいい。僕らはもう、ふてぶてしいからね。
深沢 ウンウン。
篠井 すれっからしが入っちゃうから。それに比べてこの初々しさ!
大谷 いやあ、もうこのお二人が相手ですから、僕は初心にかえってやるだけですよ。
池田 ま、これでまた有頂天にならないようにね(笑)
※「ヴァニティーズ」公演パンフレットは販売を終了しています。